「有頂天家族」森見登美彦

有頂天家族

有頂天家族

京都に住む狸と天狗と人間の話。メインは断然狸です。
でも狸も人間に化けているので、気をつけないと彼らが狸だという事を忘れてしまう。

まずは、登場人物の紹介。

●狸の皆さん
・下鴨総一郎(故人)・・・4匹の兄弟の父親。数年前、金曜倶楽部に狸鍋にされて還らぬ狸となる。かつて京都の狸をまとめる「偽右衛門」だった。
・母・・・4匹の産みの親。名前は不明。タカラヅカが大好きで、自身もタカラヅカ風の美青年に化けてビリヤードをするが、雷が苦手で雷が鳴ると化けの皮が剥がれてしまう。嫌いな相手に対する口癖は「くたばれっ!」
・下鴨矢一郎・・・いざという時頼りにならない長男。若旦那風の青年に化ける。次期「偽右衛門」の座を巡り、総一郎の弟・早雲と争う。
・下鴨矢二郎・・・引き篭もりの次男。蛙に化けていたら元に戻れなくなった。今は六道珍皇寺の井戸の中の蛙。かつて狸だった頃は酔うと偽叡山電車に化けていた。
・下鴨矢三郎・・・阿呆の三男。本編の主人公。化けるのが得意だが、中でもよく化ける姿は腐れ大学生。
・下鴨矢四郎・・・甘えん坊の四男。叔父・早雲の運営する偽電気ブラン工場で修業している。

・夷川早雲・・・総一郎の弟で、即ち4兄弟の叔父。偽電気ブラン工場を運営している。夷川家には婿養子として入った。
金閣銀閣・・・早雲のバカ息子たち。四字熟語を意味も良く分からず使いたがる。よく矢三郎や矢四郎をからかったり苛めたりする。
・海星(カイセイ)・・・金閣銀閣の妹。名づけ親は総一郎。矢三郎の婚約者だったが、総一郎の死をきっかけに破談に。矢三郎には一度も姿を見せた事がない。口が悪い。

●天狗
・赤玉先生・・・本名は如意ヶ嶽薬師坊。赤玉ポートワインが大好き。狸たちの先生で、矢三郎たちも赤玉先生の教え子。今は落ちぶれて出町柳のアパートで暮らしている。

●人間
・弁天・・・赤玉先生が琵琶湖畔から攫ってきた女性。赤玉先生から天狗の教育を受けて、今では師匠を凌ぐ腕前に。「金曜倶楽部」のメンバーの1人。
・淀川長太郎・・・金曜倶楽部のメンバーの1人。金曜倶楽部では七福神の名前で呼ばれるが、彼の場合は布袋。普段は大学教授をしている。かつて怪我をした下鴨家の母を手当てした、母の命の恩人。

・・・とまぁ、結構な人数います。
でも皆個性的な奴らばっかり。

一応話のメインは次期「偽右衛門」を巡る選挙戦なんでしょうが、何故総一郎が狸鍋になってしまったのかの真相が分かったり、金閣銀閣との阿呆な戦いがあったり、大文字の送り火の日に空飛ぶ茶室で京都の夏の夜を飛んだり、金曜倶楽部に下鴨家が鍋にされそうになったりと盛り沢山です。

結構、阿呆な話なのですが、下鴨家の家族愛には感動しました。
第5章の『父の発つ日』はジーンときました。

余談。
「木っ端みじん」になることを「木っ端ミジンコ」と言ってるのが、可愛かったです。
下鴨家が声を揃えて「くたばれっ!」って言ってるのも、息合ってるなー、やっぱ家族なんだなーと思いながら読んでました。
あと、これを読んでると赤玉ポートワインが飲みたくなります。

因みに、第2部があるとの事で、続きが楽しみです。