「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」万城目学

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)

成人男性が主人公になることが多い万城目さんの今度の主人公は小学1年生の女の子と、その家に居ついたメス猫。
話も児童文学っぽく、普段より低年齢層にも楽しめる内容となってます。
(勿論、大人も楽しめます!)

かのこちゃんとマドレーヌ夫人が主人公の章が交互に2回ずつの計4章で構成。
かのこちゃんに初めて「刎頚(ふんけい)の友」が出来る話や、マドレーヌが初めてかのこちゃんの家に来た時の話から始まり、マドレーヌ夫人が人間と入れ替わってしまう不思議な話もあり、楽しい日々が続いていくように見えたが、やがて訪れる悲しい別れ。
その悲しい気持ちを乗り越えて、かのこちゃんは、また新しい日々を過ごす。

因みにマドレーヌ「夫人」と呼ばれているので、夫もいます。
かのこちゃんが生まれる前から家で飼っている犬の玄三郎。
この世界では犬と猫は言葉が通じないとされているみたいですが、何故かマドレーヌ夫人には玄三郎の言葉が分かる。
それ故に、夫人は猫の集会でも一目置かれています。

また、かのこちゃんの名前は、お父さんが鹿から貰った名前で「鹿の子模様」から来ています。
ウソかホントか分かりませんが、鹿と話せるところなど、どうしても「鹿男あをによし」を髣髴とさせます。
そんな万城目さんらしい演出も入っていて、少し悲しいけど、ほんわかとした暖かい話になっています。