「しゃべれどもしゃべれども」佐藤多佳子

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)

興味を持ったのは、この作品の映画の予告がきっかけ。
(映画は、この原作を読んだ後に観ました)
落語とか下町とか、某チームの野球帽を被った子とか(笑)
その映画全体の雰囲気に惹かれました。
最初は、原作読まないで映画だけ・・・。とも思いましたが、結局買う事に。

読み始めたら面白くて、割とページ数多めだけど、あまり苦になりませんでした。
逆に、少し物足りなくてもっと読みたかったくらいに。
落語の事もしっかりと勉強して書かれてましたし、何よりキャラが個性的でイキイキと描かれてました。
私も喋るのは得意な方じゃないから、この落語教室の生徒たちの気持ちには少なからず共感できました。
生徒たちは皆、喋るのが苦手で通ってるから、最初はロクに会話もしない仲だったのに、だんだんと打ち解けて仲良くなっていく様子も、見どころの一つだと思います。

あと、その土地土地の描写に深みがありました。
物語の舞台は主に主人公の実家がある吉祥寺なんですが、井の頭公園の様子とか、他にも中央線沿線や寄席がある上野や浅草、池袋・・・。
思い返してみると、主人公、結構行動範囲広いですね。
場面転換が多いのも飽きが来なくて良かったです。
ちょっとした東京散歩が楽しめます。